『本物の奨学金を』給付型求め、学生らがアピール

子どもが大きくなって「大学に行きたい」「私立大学で〇〇を学びたい!」と言われたら、親としては、どんなに学費が高くても希望する大学へ行かせてあげたいものです。

ただ、大学の学費が高くなる一方で、長く続く不況の影響で収入は上がらず、日々の生活だけで精一杯というご家庭も少なくありません。

そんな時に、学びたい意欲のある、学生を支えるのが、奨学金です。
しかし、今、奨学金に関して若者が、苦悩している現状をご存知でしょうか。

 
二つに分かれる奨学金「給付型」と「貸与型」

日本学生支援機構が発表している、平成26年度の「奨学金」受給者の割合は、平均で54.8%です。(対象は大学・大学院・短大に在籍する学生)
つまり、全国で学生の2人に1人以上が、奨学金受給者ということになります。
しかし、その中で「給付型」の奨学金受給者の割合は、17.6%。
それ以外の学生は、全員「貸与型」奨学金を受給しています(無利子・有利子含む)。

給付型とは・・・
返還の必要のない奨学金。主に地方自治体や学校法人ごとに実施されており、明確な基準が定められ、それを満たしている方にのみ、給付されるもの。(2018年度から青年の声に答えて国も開始)

貸与型とは・・・
返還・返済の必要がある奨学金。無利息奨学金と有利息奨学金があり、無利息のものは「特に優れた学生及び生徒で経済的理由により著しく修学困難な人」という制限がある。有利息のものは、入試合格、学業成績が平均水準以上、学習意欲などが基準となり、比較的誰でも利用しやすいが、年利3%の利息を払わなければならない(在学中は無利息)。

※日本学生支援機構の基準(実費は借金です)

『本物の奨学金を』給付型求め、学生らがアピール

さらに、「給付金の受給を希望していたが申請しなかった」という方が、大学学部生では10.4%、大学院生では11.7%、いずれも世帯年収400万円未満の低所得者層に多く存在します。
そして申請しなかった理由で最も多いのが「貸与のため卒業後の返還が大変なので申請をやめた」というものです。

埼玉でのアクション
12月4日に行われた、給付制奨学金の実現を求める県内の学生・若者でつくる「Rights to Study@埼玉~本物の奨学金のための緊急行動」では、参加者からこのような訴えがなされています。

◆介護福祉士・20代男性
「奨学金の総額は利子を含め650万円。30年間、返済し続けなければならない。収入も少ないなかで、返済はギリギリです」

◆2人の大学生をもつ母親
「年間180万円あまりの学費は、家計にとって重い負担。今の奨学金は実際はローン。若い人たちと手をたずさえて現状を変えていきたい」

◆パレード参加女性
「友人が奨学金を月12万借りて工業系私大の学費を払っていた。しかし、失業した両親が生活費につかっていまい、半期分の学費を払えず除籍になった。彼も学び続けたかったはず。深刻な実態をぜひ伝えたい」

そのほか、「ローンにならない奨学金を!」「教育は権利だ」「学ぶ権利に利子をつけるな」と個々人の想いを訴え、給付制奨学金の実現をアピールし、通行人の注目を集めました。

まとめ

教育を受ける権利は、憲法で保証されています。また、世界では、大学などの高等教育を無償化する流れが広がっています。
大学などへの進学が、自身の生い立ちや家庭の経済状況によって閉ざされてしまうということは、あってはならないです。

給付制奨学金の実現に向けて、今後も活動を続けてまいります。